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治療の目的
身体の中のウィルス量を抑え続け、免疫力を回復し、それを維持していくことが目的です。
(検査してもウィルスがみつからないレベルまでウィルスを減らすこと)
治療の基礎知識
1996年以降、治療の進歩に伴いHIV感染患者さんの予後は飛躍的に改善してきています。
抗HIV薬はHIVを体内から完全に排除できる薬ではありません。
よって抗HIV薬は、開始したら一生飲み続けていくことになります。
治療開始のタイミング

HIVに感染していることが判明しても、すぐに治療開始するわけではありません。

エイズ発症していない患者さんの場合、血液検査でCD4数 350/μl未満であれば治療開始が推奨されています(CD4数の基準値:700~1300/μl。)

CD4数が350/μl未満にならないと治療できないのか??というと、そうではありません。CD4数が500/μl以上でも多くの専門家は治療を始めることを勧めています。また、エイズを発症している患者さん、HIV感染が原因で腎臓の機能が著しく低下している患者さん、HIV感染している妊婦さん、B型肝炎とHIVの両方を感染している患者さんで、B型肝炎の治療が必要になった方も、治療開始することが推奨されています。

これまでの多くの調査から、治療開始を早めること、遅くすることのメリット・デメリットが各々にあることが分かってきています(表)。

病状、体調など色々な事を考慮した上で治療開始の時期を決めていくため、治療開始の時期は患者さんにより様々です。

 

利点 欠点
ウイルスが増えてくるのを早いうちに抑えることが出来る
免疫力を保つことが出来る
(エイズ指標疾患の発症を減らせられる)
他人へHIVをうつす危険が低くなる
HIV感染自体で生じてしまう合併症を減らすことが出来る
(心筋梗塞・脳梗塞・骨粗鬆症・腎障害など)
CD4数が高くても生じるHIV関連疾患の発症を減らすことが出来る
(例えば、結核やHIV関連悪性リンパ腫など)
薬により副作用が現れる可能性がある
治療が不十分な場合、耐性ウイルスが出現する可能性が高い
他人へ耐性ウイルスをうつす危険性がある(治療が不十分な場合)
将来使える治療選択肢が狭まる可能性がある(耐性ができる、副作用などにより)
現在使用できる治療法がいつまで有効かわかっていない
内服によってストレスを感じてしまう可能性がある
治療費が高い

抗HIV薬について

抗HIV薬は3~4剤の内服薬を組み合わせて治療します。

以前は1~2剤の内服治療が主流でしたが、すぐにウィルスが耐性を獲得してしまい薬が効かなくなってしまうことが問題でした。そこで抗HIV薬を3~4剤同時に内服する「強力な抗ウィルス療法(Highly Active Anti-Retroviral Therapy:HAART)」が主流となっています。最近では、必ず3~4剤併用する治療法が行われるため、HAARTを略してARTと言われるようになってきています。

抗HIV薬は大きく下記5つに大別されます。

核酸系逆転写酵素阻害剤
非核酸系逆転写酵素阻害剤
プロテアーゼ阻害剤
インテグラーゼ阻害剤
侵入阻害薬

きちんと内服できないと

抗HIV薬を中途半端に内服してしまうと、あっという間に薬が効かなくなってしまいます!!

ウィルスが薬に対し耐性を獲得してしまうためです。ちなみに、内服10回のうち1~2回飲み忘れてしまうだけで患者さん2人に1人は治療に失敗してしまうのです。

ウィルスが耐性を獲得するということは、使える薬の選択肢が狭まるということです。すなわち中途半端な内服は、今後何十年とウィルスを抑えつける武器を自ら捨てているのと同じことになります。

きちんと内服していくには「アドヒアランス」が不可欠です。

アドヒアランス
患者さんが積極的に治療方針に参加し、自らの意思に従って治療を実行(内服)し、それを続けていく姿勢を表した用語です

きちんと内服するためには

治療の決め手は何と言っても「アドヒアランス」です。

自分のライフスタイルを確認しましょう
内服できる状況や環境を探していくことで、内服を生活の中に取り込んでいきましょう。

内服を忘れないために・・・
携帯電話のアラーム機能などを利用して、内服忘れを予防していきましょう。

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